外国人看護師の受け入れ
業界や職種に関係なく、人手不足を打開するために外国人労働者を採用するケースは増えており、看護師も例外ではありません。ただし外国人労働者と共に働くにあたっては、そのメリットと注意点についてよく考えておく必要があります。
日本国内で増え続ける外国人労働者
日本における外国人労働者は年々増え続けています。外国人労働者が増える理由には、日本が直面している少子高齢化の問題が深く関係しています。少子化の影響で若い日本人労働者は減り、高齢化の影響で医療や介護の現場は深刻な人手不足に陥っています。看護師の数を増やしたくても思うように増えず、日本人の看護師の応募を待っているだけではもはや間に合わない状況です。そのような理由から、外国人看護師の受け入れを決める施設が増えています。働くために来日する外国人は近年増加しており、外国人労働者の採用に積極的な企業も増えています。
高い就労意欲を持つ外国人を採用することには、受け入れる側にとって多くのメリットがあることがわかっています。言葉や文化の違いは、コミュニケーションにおいて壁となることも少なくありません。しかし、言葉や文化の壁を乗り越えながら懸命に働く外国人の姿は、同じ職場で働く日本人にとって良い刺激となります。外国人患者が来院した場合の対応も、外国人看護師がいるならよりスムーズに行うことができるかもしれません。グローバル化があらゆる場面で求められる時代にあって、外国人看護師の存在が医療現場にとってひとつの大きな強みになるでしょう。
外国人労働者を受け入れるためには心構えが必要
外国人看護師を受け入れる前に、文化や価値観は国によって異なるということをよく理解し、職場全体で認識を共有しておく必要があります。悪意はなくても差別的なことを言葉や態度で表現してしまうことがあるので、外国人の同僚とどのように接するべきかをよく考えておかなければなりません。コミュニケーションの方法も、日本人と外国人では大きく異なる場合があります。日本人の同僚に対して外国人が抱く不満で多いのが、「自分の考えをはっきりと述べない」や「外国人との関わりを避けたがる」など日本人特有ともいえる部分です。文化や価値観を外国人に完全に合わせる必要はありませんが、文化や価値観が異なる相手に伝わる方法で伝える工夫と積極的に関わる努力は必要です。
日本の職場の雰囲気になじんでもらうために、外国人看護師が理解しやすい教育プログラムを別途用意しておくこともできるでしょう。業務上必要な情報を全員で共有しておくことで、誤解や行き違いなどを防ぐことができます。
人手不足で疲弊している看護師へ
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なぜ人手不足になっているのか?
看護師が不足するとどうなるのか?
看護師の人手不足は、さまざまなところに重大な影響を及ぼします。人手不足の現場で働く看護師の業務負担は重く、ストレスや不安から離職を考える可能性が高まります。離職者が増えると残った看護師の負担がさらに重くなり、離職者をまた増やすことになりかねません。看護師の疲労が限界を超えてしまうなら、看護の質が落ちて患者さんにも不利益が発生します。看護師の確保が難しい地方の場合、人手不足が病院の閉鎖にまでつながることもあります。
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深刻さを増す人手不足を打開するには?
業務の効率化
看護師の人手不足を打開するためには、労働環境を根本から見直す必要があります。人手不足の医療現場における労働環境の改善に役立っているのがICTです。ICTを看護師の業務に取り入れると、電子カルテや電子薬歴の照会、遠隔診療、介護施設や薬局との連携、ナースコールなど幅広い業務を効率化できるようになります。実際にICTを導入している医療現場では、看護師の負担を減らしながら看護の質を高めることに成功しています。